海外進出のためのリスク低減の施策とは?

巷では、この円高の影響もあり、海外進出、海外M&Aの話が新聞紙上をかなりにぎわせている状況で、弊社でもご多分にもれず、ベトナム進出に関するご質問、お問合せも多くいただいております。

少し前ですが、9/19の朝日新聞の朝刊に「中小、空洞化対策に苦慮。町工場仲間とベトナム進出」として、共同でベトナムに進出された中小企業の経営者の方の取材のコーディネイトをさせていただきました。新しい進出方法として記事には掲載されており、相対的に製造業の多い地域での支援活動も進めております。

そういう状況の中、やはり海外進出はかなりハードルの高い「新規事業」です。
ベトナムのビジネス概況、市況、法制面、人材、利益確保、資金調達、管理手法など、日本とベトナムは似て非なるところも多く、なかなか踏み出せないことが多いです。

そこで今回は、海外進出をするにあたり、再度どのような事前準備が必要か、また事前準備と並行して行うべき施策は何か、リスクを限りなく低減させながら、進出を進める方法論に関して述べたいと思います。

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 【海外進出のためのリスク低減の施策とは】
「駐在員事務所」活用と「日本語人材の事前受入」のススメ
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2003年よりベトナムを活用したオフショア開発体制構築や、ベトナム進出支援、ベトナム人材活用等、かれこれ足掛け9年になるわけですが、今年ほど、色々な意味で「ベトナム」が注目された年はなかったように思います。

特に多くは低廉な労働力の活用を元にしたコストダウンのための進出や活用がテーマとして挙がりますが、販売市場としてベトナムを見るケースも少しずつですが増えてきています。

経済成長著しいこれからの市場、ベトナムに魅力をお感じいただけるのは、弊社としても非常にありがたい、よいムーブメントではありますが、意外と多いのは

「うちの事業はベトナムにないので、やってみたい」
「どうもこれから成長性が見込めるので、先手を打って何か事業化を進めたい」

というような、事前調査や準備が無い状況での「現地法人設立」の話です。

現地法人を設立する場合、問題は現地でいかにキャッシュを確保するか、つまりはローカルで売上をいかに確保するか、が非常に大きな経営課題です。

よく日本の作業をベトナムで行うというコストセンターとしての活用を伺いますが、私自身2006年に現地法人を設立して2009年に撤退した経験や、ベトナムから撤退した経営者や、ベトナムで成功している経営者からの話をまとめると、

「日本からだけの売上に頼ると必ず破たんする。ローカルでの売上をどう作るかを事前に構築しないと企業存続は難しい」

ということです。

私も色々な企業の進出を見てきましたが、売上が上がる見込みが無く、日本からの資金を食いつぶすだけ食いつぶして終わった、というケースは多く見てきましたし、ベトナムでの展開が日本本社を窮地に追いやったケースもありました。

こういう場合は、「駐在員事務所」の設立をお奨めします。

駐在員事務所は、営利活動はできないですが、駐在員としてのベトナムでの長期居住が可能で、事業に必要となるベトナム国内での販売先や協力先、パートナー先等、市場調査を行い事業化検証を行うという「事前準備」に最適な方法です。

ベトナムでは事業に合わせて事業ライセンスを取らないといけないですが、外資100%ではできない事業もあるため、調査、検証を行い、地盤固めを行うことが可能です。もちろん、撤退もあり得るわけですが、駐在員事務所は撤退も比較的しやすく、そのリスクも回避しやすい訳です。

またもうひとつの問題としては、現地進出の際、日本語ができる人材を最初は採用しますが、日本語能力はあるが、事業活動に必要なスキルや技能を持たない人材を採用したり、選考もせずに、知り合いのベトナム人から紹介してもらったベトナム人に頼ってしまったりと、日本では絶対しないはずのことを、海外だからやってしまうということで、失敗されるケースも少なくないです。

この場合、私共は必ず日本でベトナム人の優秀な人材、特に大卒の上位校出身者を雇用し、育成することをお奨めします。

留学ビザ、技術ビザを持っているベトナム人は、それぞれ約2,900人、約2,300人(2010年)と、中国人や韓国人などと比べると相対的に対象者数が少なく、現時点では完全に売手市場となっています。

逆にベトナム国内には、日本で働きたいというポテンシャルの高い人材も多く存在しており、特に上位校では日本で勤務することが、非常に価値あるキャリアステップという認識になっています。

また上位校の学生の親族は、ある意味良い血筋を持っていることも多く、人材採用がそのまま「人脈構築」にもつながり、ベトナム市場での営業展開や事業展開に大きく寄与することも期待できます。

弊社も過去に採用したベトナム人社員に、政府系企業勤務の親族がいて、商談に結びついたケースや、有力なパートナー候補を探す際に、ベトナム人社員の大学の同級生がキーマンだったというケースなど、口コミ文化であるベトナムは、信用できる人物の知人に接点を作る場合に、非常に有効に機能する訳です。

在日ベトナム人とは違い、ベトナム国内の求人倍率は1.0倍以下ですので日本とは違い「買い手市場」であり、適切な人材を選ぶことが現状は可能な状況です。

このように、進出をお考えの場合は、事前準備としての「駐在員事務所」「ベトナム大卒採用」をお考えいただく事を、リスクを低減化させる方法として、認識いただければと思います。

もし進出でご質問やお問合せをお持ちの場合は、お気軽にご相談下さい。

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