【ニュース】技能実習生の受け入れ費用を初調査/外国人技能実習機構(OTIT)

外国人技能実習制度の適正な運営を監理する外国人技能実習機構が、今回初めて、監理団体に対した費用の調査を行い、その結果が公開されました。

 集計結果を基に、外国人技能実習生1名を受け入れるに当たって、技能実習修了までに要する費用の各平均値を合計(初期費用+各号の定期費用の年額)すると、

技能実習2号(3年間)までは約141万円

技能実習3号(5年間)までは約198万円

と、給与等の費用以外に結構なコストを受け入れ企業が負担している事実が公表されました。

調査概要は下記の通りです。

 1目的

監理団体が実習実施者から徴収する監理費等の経費等の実態を把握し、技能実習制度の適正な運用・制度設計に資するための基礎資料とする。

対象者

外国人技能実習機構に対して情報発信用メールアドレスを登録している監理団体の中で、令和元年度(平成31年4月1日~令和2年3月31日)において実習監理の実績のあった監理団体(注)

(注)実習監理の実績の有無は令和元年度の事業報告書の内容から判断した。
また、令和元年度以降に行政処分を受けている監理団体は除外した。

3実施方法

外国人技能実習機構が、上記の監理団体に対しアンケート票をオンラインで送付し、監理団体がアンケート票に入力後、同機構の返送用メールアドレスへオンラインで返信する方法により実施した。

4実施期間

令和3年9月9日から同年10月4日まで

5回答数

アンケート対象者数は1,972団体、有効回答数は631団体で、有効回答率は約32.0%であった。

平均初期費用  341,402 円/人

初期費用は、 入国後講習に要する費用、募集・選抜に要する費用、入国後講習における手当で、渡航費は含まれていません。

最も多いのは35-40万円/人で全体の17.4%を占め、50万円以上の監理団体も約14%もあり、かなりばらつきがある事がわかります。

初期費用の分布

監理費平均 30,551円/人月

監理団体が実習実施者から、定期的にきまって徴収する監理費(定期費用、1人当たりの徴収額)の平均値は、技能実習1号時では月額3万551円、技能実習2号時では2万9,096円、技能実習3号時では2万3,971円となっています。

1年目の技能実習1号では、中心体が25,000〜30,000円/人月ですが、2年目、3年目の技能実習2号の場合、30,000〜35,000円/人月に移行しているところが注目ポイントです。

これは1年目は初期費用がかかるので、1年目の監理費を抑制しつつ、2年目、3年目に費用をスライドさせるようにしているように思います。

実際は、1年目の方が色々とサポートする事が多いはずですが、受入企業の負担をできるだけ感じさせない費用設定の工夫が見えます。

技能実習生の場合、実習なので、転職もできなければ、帰国もできないという制度であるため、この価格モデルが実現できることも納得できます。

日本での実習が4年目、5年目の技能実習3号でも、中心体が25,000〜30,000円/人月となっており、受入企業の方々は、徴収する費用の内訳をしっかり確認する事が必要かと思います。

技能実習1号(1年目)
技能実習2号(2年目ー3年目)
技能実習3号(4年目-5年目)

不定期費用 154,780円/人

ここでいう不定期費用とは、来日する際の初回の渡航費、一時帰国に係る渡航費、帰国のための渡航費など、来日後に一時的にかかる費用のことを指します。

約60%は入国や帰国に関する渡航費のようですが、ここでも募集費、入国前講習費など、費用を分散したように見せかける費用負担を、受入企業に強いている事がわかります。

不定期費用の内訳

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