近年、日本人採用は年々難しくなり、多くの中小企業が人材確保に課題を抱えています。求人を出しても応募が集まらず、採用できたとしても定着しない――こうした状況の中で、「外国人採用」に関心を持つ経営者も増えています。
一方で、「制度が複雑そう」「何から始めればいいのかわからない」と感じ、具体的な検討に踏み出せていない方も少なくありません。本記事では、外国人採用に関する知識がない方でも理解できるよう、採用市場の背景から在留資格制度の基本、注意点までをわかりやすく解説します。
なぜ今、「外国人採用」という選択肢が出てきたのか
近年、人材確保に悩む中小企業が増えています。これは個々の企業努力だけでは解決しにくい、採用市場全体の変化が背景にあります。こうした状況の中で、従来の日本人採用だけに頼らない選択肢として注目されているのが「外国人採用」です。まずは、なぜ今このテーマが現実的な検討対象になっているのかを整理していきます。
日本人採用だけでは人手不足を補えなくなっている現実
近年、中小企業の採用現場では「求人を出しても応募が来ない」という状況が当たり前になりつつあります。その背景にあるのが、生産年齢人口の減少です。働き手となる15〜64歳人口は年々減少しており、人手不足は一時的な景気変動ではなく、構造的な問題として定着しています。
この影響を特に強く受けているのが、地方や中小企業です。都市部や大企業に人材が集まりやすい一方、地方では募集自体が成立しにくい状況が続いています。
有効求人倍率や新規求人倍率の推移を見ても、求人に対して求職者数が追いついておらず、企業側が「選ばれる立場」に回っていることが分かります。
有効求人倍率・新規求人倍率の推移

さらに、若年層を中心にワークライフバランスを重視する価値観が広がり、従来型の募集条件では人材を確保しにくくなっています。こうした複合的な要因により、日本人採用だけで人手不足を補うことは、年々難しくなっているのが現実です。
外国人採用は「大企業」のためだけの選択肢ではない
ひと昔前まで、外国人採用は大企業や一部の専門職に限られた取り組みという印象が強くありました。海外展開を進める企業や、高度な専門人材を必要とする企業が中心で、中小企業にとっては現実味のない話と受け止められていたのが実情です。
しかし現在では、その状況は大きく変わっています。在留外国人数の推移を見ると、外国人はすでに日本社会の中で特別な存在ではなく、働き手として日常的に存在する層になっていることが分かります。コンビニや工場、介護現場など、私たちの身近な場所でも外国人が働く姿は珍しくありません。
在留外国人数の推移

この変化の背景には、外国人雇用に関する制度整備が進んだことに加え、日本語能力や就労意識の高い人材が増えてきたことがあります。採用市場が厳しさを増す中で、企業側も人材確保の方法を多様化せざるを得ない時代に入りました。
外国人採用は、もはや大企業だけの選択肢ではなく、中小企業にとっても現実的に検討すべき採用戦略の一つとなっています。
2026年の労働市場に起きている変化

2026年度に向けて、日本の労働市場ではいくつかの変化が起きています。その一つが、いわゆる「年収の壁」の引き上げです。これにより、パートやアルバイト層の働き控えが緩和され、短期的には勤務時間が延びることで、一部業種では人手不足が和らぐ可能性があります。
これまで時間制限によって就労を抑えていた層が、より柔軟に働けるようになる点は、企業側にとっても一定のプラス要因と言えるでしょう。
ただし、この動きはあくまで一時的な緩和策に過ぎません。生産年齢人口の減少という大前提は変わらず、フルタイムや責任あるポジションの採用が容易になるわけではありません。特に地方や中小企業では、採用難の構造自体が解消される状況にはなく、人材確保の厳しさは今後も続くと考えられます。こうした環境を踏まえると、外国人採用を「やめる理由」ではなく、改めて戦略として見直すべきタイミングに来ていると言えるでしょう。
外国人採用とは?まず押さえておきたい基本的な考え方
外国人採用について考える際、制度や手続きの前に押さえておきたいのが「外国人採用をどう捉えるか」という基本的な考え方です。制度の成り立ちや目的を正しく理解せずに進めてしまうと、採用後のミスマッチやトラブルにつながりやすくなります。まずは、外国人採用がどのような前提のもとで設計されているのかを整理し、誤解されがちなポイントを丁寧に確認することが重要です。
外国人採用=「安い労働力」ではない
外国人採用という言葉を聞くと、技能実習生に関する報道を思い浮かべる方も多いかもしれません。低賃金や長時間労働、失踪といった問題がメディアで取り上げられることもあり、「外国人雇用=リスクが高い」という印象を持たれがちです。しかし、こうした問題の多くは、外国人雇用制度そのものではなく、制度の趣旨を無視した不適切な運用によって生じてきました。
実際には、外国人が日本で働くための在留資格は一つではありません。技能実習だけでなく、特定技能や技術・人文知識・国際業務など、目的や役割の異なる複数の制度が存在しています。
在留外国人の構成比(在留資格別)

外国人採用を「安い労働力の確保」と捉えてしまうと、制度の選択や運用を誤り、結果的に企業側のリスクを高めてしまいます。外国人採用を正しく活用するためには、まず制度の全体像を知り、それぞれの在留資格の役割を理解することが不可欠です。
外国人を雇用するには「在留資格」が必要
外国人を日本で雇用する際に、必ず理解しておかなければならないのが「在留資格」の考え方です。日本では、外国人がどのような目的で在留するのかによって資格が細かく分かれており、すべての外国人が自由に働けるわけではありません。在留資格には、就労が認められているものと、原則として働くことができないものが明確に区別されています。
就労が認められる在留資格(活動制限あり)
| 在留資格 | 該当例 |
|---|---|
| 外交 | 外国政府の大使、公使等及びその家族 |
| 公用 | 外国政府の公務に従事するもの及びその家族 |
| 教授 | 大学教授等 |
| 芸術 | 作曲家、画家、作家等 |
| 宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 |
| 報道 | 外国の報道機関の記者、カメラマン等 |
| 高度専門職 | ポイント制による高度人材 |
| 経営・管理 | 企業等の経営者、管理者等 |
| 法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士等 |
| 医療 | 医師、歯科医師、看護師等 |
| 研究 | 政府関係機関や企業等の研究者等 |
| 教育 | 高等学校、中学校等の語学教師等 |
| 技術・人文知識・ 国際業務 | 機械工学等の技術者等、通訳、デザイナー、 語学教師等 |
| 企業内転勤 | 外国の事務所からの転勤者 |
| 介護 | 介護福祉士 |
| 興行 | 俳優、歌手、プロスポーツ選手等 |
| 技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者等 |
| 特定技能 | 特定技能分野の各業務従事者 |
| 技能実習 | 技能実習生 |
身分・地位に基づく在留資格(活動制限なし)
| 在留資格 | 該当例 |
|---|---|
| 永住者 | 永住許可を受けた者 |
| 日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・実子・特別養子 |
| 永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者、 我が国で出生し引き続き在留している実子 |
| 定住者 | 日系3世、外国人配偶者の連れ子等 |
就労の可否は指定される活動によるもの
| 在留資格 | 該当例 |
|---|---|
| 特定活動 | 外交官等の家事使用人、 ワーキングホリデー等 |
就労が認められていない在留資格※
| 在留資格 | 該当例 |
|---|---|
| 文化活動 | 日本文化の研究者等 |
| 短期滞在 | 観光客、会議参加者等 |
| 留学 | 大学、専門学校、語学学校等の学生 |
| 研修 | 研修生 |
| 家族滞在 | 就労資格等で在留する外国人の配偶者、子 |
※資格外活動許可を受けた場合は、一定の範囲内で就労が認められる。
たとえば、就労を目的とした在留資格であっても、従事できる業務内容や働き方には厳密な条件があります。一方、留学や家族滞在などの在留資格では、原則として就労は認められておらず、例外的に許可された範囲でのみ働くことが可能です。このように、在留資格ごとに「何ができて、何ができないのか」を正しく把握することが、外国人採用の前提となります。
また、在留資格の確認や管理は、外国人本人だけでなく、雇用する企業側にも責任があります。誤った認識のまま雇用を進めてしまうと、意図せず法令違反に問われるリスクも否定できません。在留資格は制度自体が複雑であるため、専門家の支援を受けながら進めることが、結果的に企業を守ることにつながると言えるでしょう。
経済環境の変化と外国人の意識変化
近年の円安や物価高は、外国人労働者の日本に対する見方にも変化を与えています。日本円ベースで見た給与の相対的な魅力は以前より低下し、特に生活コストの上昇により、「思っていたより割に合わない」と感じる外国人が増えてきました。その結果、短期的な収入目的で「とりあえず日本で働く」という層は、徐々に減少する傾向にあります。
一見すると、これは外国人採用にとってネガティブな変化のように映るかもしれません。しかし必ずしもそうとは言えません。給与や条件だけで職場を選ぶ人材が減ることで、「日本で長く働きたい」「日本社会に根付いて生活したい」と考える人材が残りやすくなるからです。結果として、採用後の価値観のズレや早期離職が減り、企業とのミスマッチが起きにくくなる可能性があります。
そのため、これからは、外国人採用を人手不足の補填のためだけではなく、質の高い人材を見極めて採用するという時代へと移行していく言えるでしょう。
外国人採用でよく使われる制度の違いを理解する
外国人採用を検討するうえで重要なのは、「どの制度を使うか」によって採用できる人材像や任せられる業務が大きく異なるという点です。適切に選ばなければ、採用後に「想定していた仕事を任せられない」といったミスマッチが生じます。ここでは、実務上よく検討する在留資格を取り上げ、それぞれの特徴と違いを整理していきます。
中小企業が検討する在留資格

専門職として採用する在留資格|技術・人文知識・国際業務
技術・人文知識・国際業務は、いわゆる「就労ビザ」と呼ばれる代表的な在留資格です。大学や専門学校などの高等教育を修了した外国人が対象で、日本人では対応が難しい専門的なスキルや知識を活かした業務に従事します。ITや設計、エンジニア業務のほか、営業やマーケティング、通訳や貿易関連などが該当します。一方で単純作業は認められず、職務内容と学歴・専攻との関連性が厳しく審査されます。
向いている企業
- 大卒日本人と同等もしくは同等以上の処遇ができる
- 専門職のポジションを用意できる
将来の採用候補になりうる在留資格|留学(大学・専門学校・日本語学校)
留学は、本来「学ぶこと」を目的とした在留資格であり、就労を前提としたものではありません。ただし、一定の条件を満たせばアルバイトとして働くことは可能です。
留学生は即戦力としての採用対象ではありませんが、卒業後に「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」へ在留資格を切り替え、日本で就職するケースも多く見られます。そのため留学は、将来的な採用を見据えた候補層として位置づけることができる在留資格と言えるでしょう。
- 週28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動(アルバイト)は可能
- 長期休業期間中は8時間/日まで可能
- 留学生本人による入管への申請が必要
人材育成と人材確保を目的とした新制度|育成就労制度
2027年4月から「技能実習制度」に代わって新設されるのが育成就労制度です。この制度は、従来の技能実習制度が抱えていた課題を踏まえつつ、日本の現場で働きながら「技能・日本語力を育成しつつ就労する」ことを目的としています。従来の制度が「技能移転」を重視していたのに対し、育成就労制度は 労働力としての貢献と長期的な人材育成・確保 に重点が置かれている点が大きな特徴です。
制度の施行にあたっては、対象分野は特定技能1号の特定産業分野に限られる方向で調整されています。また、制度設計では、就労しながら技能を身につけ、将来的に 特定技能1号へ移行するキャリアパス が明確に位置づけられています。
育成就労制度は、単なる「働く場」の提供ではなく、受け入れ企業側が主体的に人材を育成・長期定着させることを前提とした在留資格制度と言えます。
育成就労制度を活用するポイント
育成就労制度の大きなメリットは、単なる目下の人手確保ではなく、将来的な戦力化を前提に外国人材を受け入れられる点にあります。就労を通じて技能と日本語力を段階的に育成し、特定技能への移行を見据えた人材形成が可能となるため、中長期的な人材確保につながります。また、制度上「労働力」としての位置づけが明確になることで、従来の技能実習よりも現場とのミスマッチが起きにくくなる点も特徴です。
一方で、受け入れ企業には育成計画の作成や適切な指導体制の整備が求められます。制度趣旨を理解せず、短期的な人手不足解消だけを目的に活用すると、定着や移行がうまく進まない可能性があるため注意が必要です。
技能実習と育成就労の違い
| 項目 | 技能実習 | 育成就労 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 開発途上国への 技能移転 | 人材育成と 人材確保の両立 |
| 在留資格の考え方 | 「実習生」としての 受け入れ | 「労働者」としての 受け入れ |
| 人手不足対策 としての位置づけ | 原則NG (制度上は想定外) | 明確に想定されている |
| 就労の位置づけ | 技能習得が主、 労働は付随的 | 就労しながら 育成する前提 |
| 転籍の可否 | 原則不可 | 一定条件下で可能 |
| キャリアパス | 原則、帰国前提 | 特定技能への 移行を制度上想定 |
| 企業に 求められる姿勢 | 実習の「管理」 | 人材の 「育成・定着」 |

人手不足分野の即戦力として位置づけられた制度|特定技能制度
特定技能制度は、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定水準の技能と日本語能力を備えた外国人が就労できる在留資格です。日本政府が初めて、労働力不足の解消を明確な目的として新設した「労働者」としての在留資格であり、現場業務への従事が制度上はっきりと認められています。これまでの外国人受入制度と異なり、「教育」や「国際貢献」ではなく、現場で働く戦力としての位置づけが明確である点が大きな特徴です。
特定技能外国人は、入国時点で一定の技能水準と日本語能力を有しており、入社後は即戦力として働くことが想定されています。そのため、「一から育てる」ことを前提とした技能実習制度と比べ、教育負担が軽く、採用後の立ち上がりが早いのが特徴です。限られた人員で日々の業務を回している中小企業にとって、このことは、大きなメリットとなります。
特定産業分野別人数(令和7年11月末)

特定技能制度は今後も対象分野の拡大が予定されており、国としても中長期的に活用を進めていく方針が示されています。短期的な人手不足対策にとどまらず、現場を支える継続的な労働力として位置づけられているのです。
人材確保に悩む中小企業にとって、特定技能制度は「理論上の制度」ではなく、現場の課題に即した、現実的な選択肢として注目されています。
特定産業分野とは?
特定技能制度では、人手不足が特に深刻と判断された産業分野に限って外国人の就労が認められています。対象となるのは、製造業、介護、外食業、建設、農業、宿泊業などの16分野で、地域経済や生活インフラを支える分野が中心です。これらの分野では、慢性的な人手不足により、日本人採用だけでは現場が回らないケースも少なくありません。そのため、特定技能人材が現場の重要な担い手として位置づけられています。
また、これらの分野は、中小企業が多くを占める業界が中心となっており、長期的な教育体制や人材育成に十分なコストをかけることが難しい中小企業の現場実態を前提に設計されているのも特徴です。
特定産業分野一覧(2025年時点・16分野)
| 分野 | 従事する主な業務 |
|---|---|
| 介護 | 高齢や障害で、生活をする時に介護が必要になった人たちへの身体介護等(介護を受ける人の状況にあわせて入浴、食事、排せつを助けること等)のほか、身体介護等に関係して助けが必要なしごと(レクリエーションの実施、リハビリテーションの補助等) |
| ビルクリーニング | 建築物内部の清掃 |
| 工業製品製造業 | 機械金属加工区分…素形材製品や産業機械等の製造工程の作業に従事 電気電子機器組立て区分…電気電子機器等の製造工程、組立工程の作業に従事 金属表面処理区分…表面処理等の作業に従事 紙器・段ボール箱製造区分…紙器・段ボール箱の製造工程の作業に従事 コンクリート製品製造区分…紙器・段ボール箱の製造工程の作業に従事 RPF製造区分…破砕・成形等の作業に従事 陶磁器製品製造区分…陶磁器製品の製造工程の作業に従事 印刷・製本区分…オフセット印刷、グラビア印刷、製本の製造工程の作業に従事 紡織製品製造区分…紡織製品の製造工程の作業に従事 縫製区分…縫製工程の作業に従事 |
| 建設 | 土木区分…土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事 建築区分…建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業等に従事 ライフライン・設備区分…電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等に従事 |
| 造船・舶用工業 | 造船区分…船舶の製造工程の作業に従事 舶用機械区分…舶用機械の製造工程の作業に従事 舶用電気電子機器区分…舶用電気電子機器の製造工程の作業に従事 |
| 自動車整備 | 自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する業務 |
| 航空 | 空港グランドハンドリング区分…航空機の地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等 航空機整備区分…航空機の機体、装備品等の整備業務等 |
| 宿泊 | 旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供業務 |
| 自動車運送業 | バス運転者区分…一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業における運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送、乗務記録の作成や乗客対応等に従事 タクシー運転者区分…一般乗用旅客自動車運送事業における運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送、乗務記録の作成や乗客対応等に従事 トラック運転者区分…物自動車運送事業における運行前後の車両点検、安全な貨物の輸送、乗務記録の作成や荷崩れを起こさない貨物の積付け等に従事 |
| 鉄道 | 軌道整備区分…軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 電気設備整備区分…電路設備、変電所等設備、電気機器等設備、信号保安設備、保安通信設備、踏切保安設備等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 車両整備区分…鉄道車両の整備業務等 車両製造区分…鉄道車両、鉄道車両部品等の製造業務等 運輸係員区分…駅係員、車掌、運転士等 |
| 農業 | 耕種農業区分…栽培管理、農産物の集出荷・選別等の農作業 畜産農業区分…飼養管理、畜産物の集出荷・選別等の農作業 |
| 漁業 | 漁業区分…漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等 養殖業区分…養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等 |
| 飲食料品製造業 | 飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工、安全衛生の確保 |
| 外食業 | 飲食物調理、接客、店舗管理 |
| 林業 | 森林において樹木を育てて丸太を生産し、苗木を植える等の作業に従事 |
| 木材産業 | 木材・木製品の製造・加工(家具や建具などの装備品を除く。) |
2026年に追加される特定産業分野
2026年から、特定技能制度の対象分野として新たに3つの産業分野が追加される見込みです。いずれも慢性的な人手不足が続き、現場を支える労働力確保が急務となっています。
倉庫管理分野では、物流拠点での仕分けや出荷業務などが想定され、EC市場の拡大により人材需要が高まっています。廃棄物処理分野は、収集・運搬やリサイクル工程を担う人材不足が高齢化により深刻化しています。リネン供給分野では、宿泊・医療施設向けの洗濯や仕上げ作業を中心に、安定した人材確保が求められています。
これらの分野は技能実習での受入実績が多く、特定技能への移行も比較的進めやすい点が特徴です。加えて、業務上高度な日本語対応が少ないことから、現場即戦力としての活用が今後さらに広がると期待されています。
| 分野 | 従事する主な業務 |
|---|---|
| 物流倉庫の管理 | 仕分け・ピッキング作業 入出庫・棚入れ管理 ラベル貼付・梱包作業 出荷準備および搬送補助 など |
| 廃棄物処理 | ごみの分別・選別(資源、可燃、プラスチックなど) 中間処理施設での搬送、圧縮、梱包 ごみ収集車への積み込み・回収補助 リサイクル工程での仕分けやライン作業 焼却・破砕施設での簡易作業 など |
| リネン製品の供給 | リネン製品の回収・仕分け 産業用洗濯機を使った洗浄 高温プレスによる仕上げ 各施設への再供給・納品 など |
育成就労と特定技能の決定的な違い
育成就労制度と特定技能制度の大きな違いは、「人材育成」を目的とするか、「即戦力としての就労」を前提とするかにあります。育成就労は、将来的な技能形成を見据えた段階的な育成を目的とする制度であるのに対し、特定技能は人手不足分野での業務従事を前提とした労働者資格です。そのため、とくに人手不足が逼迫している状況の中小企業の場合、まずは特定技能外国人を受け入れて現場の状況を改善していくのが得策といえるでしょう。
| 育成就労 | 特定技能 | |
| 目的 | 人材を育成 人材を確保 | 国内の人手不足解消 (即戦力の確保) |
| 報酬 | 日本人と同等額以上 | 日本人と同等額以上 |
| 転職・転籍の可否 | 要件を満たした場合可能 | 同一業種内であれば転職可能 |
| 家族帯同 | 不可 | 特定技能1号:不可 特定技能2号:可能(但し、配偶者及び⼦供のみ) |
| 技能レベル | 技能検定等の 合格は不要 | 特定技能1号: 特定産業分野の技能試験に合格。 特定技能2号: 熟練した技能を要し、 特定産業分野の技能試験に合格。 |
| 日本語能力 | 日本語能力試験 N5 程度 | 特定技能1号: 日本語能力試験N4 程度 日常会話や職場で基本的な指示を理解できる。 特定技能2号: N3〜N2 程度が目安 専門的な業務に必要な会話・読み書きができる。 |
| 在留期間 | 原則3年 その後は要件を満たせば特定技能1号に移行可能 | 特定技能1号: 最長5年 (更新の上限あり) 特定技能2号: 在留期間の更新に上限なし (事実上、永続的な就労が可能) |

外国人採用のメリット・デメリットを整理する
外国人採用は、人手不足を補う有効な手段である一方、制度理解や受け入れ体制が不十分なまま進めると、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。大切なのは、メリットだけに目を向けるのではなく、デメリットや注意点も正しく把握したうえで、自社に合った形で活用することです。
外国人採用のメリット
外国人採用の大きなメリットは、採用できる人材の幅が広がる点にあります。日本人からの応募が集まりにくい職種や業種であっても、外国人を対象にすることで採用母集団を拡大することが可能になります。
また、外国人材は働く目的やキャリア意識が明確なケースが多く、高い意欲を持って業務に取り組む傾向があります。
こうした人材が加わることで、職場に前向きな刺激が生まれ、日本人社員の意識や働き方にも良い影響を与えることが期待できます。

外国人採用のデメリット・注意点
一方注意すべき点は、在留資格や就労条件の理解が不十分なまま雇用を進めると、不法就労に該当し、企業側が罰則を受けるリスクがあることです。
また、日本人採用と比べて行政手続きが複雑で、管理の手間がかかる点も無視できません。受け入れ体制や業務説明が不十分な場合には、ミスマッチや早期離職につながる恐れもあります。
「安く使おう」という考え方は、結果的にトラブルや失踪などの問題を招く原因となるため注意が必要です。

不法就労助長罪
3年以下の懲役・300万円以下の罰金
外国人を雇用する際に、不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していないことが過失と見なされ処罰される
外国人採用を「成功させる企業」と「失敗する企業」の違い
外国人採用は、同じ制度を使っていても、企業によって結果が大きく分かれます。うまく定着し、戦力として活躍している企業がある一方で、トラブルや早期離職に悩まされる企業も少なくありません。その違いは、国籍や制度の選択ではなく、企業側の考え方や準備の度合いにあります。
失敗しやすい企業に共通する考え方
失敗しやすい企業に共通しているのは、「安く手軽に外国人材で人手不足を補おう」という発想です。人手が足りないという理由だけで採用を進め、在留資格の目的や制度内容を十分に理解しないまま受け入れてしまうと、ミスマッチやトラブルにつながりやすくなります。
また、支援機関にすべてを任せきりにし、主体的に関わらない姿勢もリスクを高めます。
経済環境や外国人の意識変化を読み取れず、従来の感覚で進めてしまうことも、失敗の要因となります。
- 外国⼈に対する業績評価がない
- 給与・休暇など雇⽤条件が異なる
- ⽣活環境や住居環境の事前情報がない
- 教育担当の先輩社員を配置していない など
うまくいく企業が共通して意識していること
一方で、外国人採用がうまくいっている企業は、外国人を日本人と同じ「人材」として捉えています。在留資格の仕組みや制度の特徴を正しく理解したうえで、自社に合った形で活用し、信頼できる支援パートナーと連携しながら進めています。
また、短期的な人手補充ではなく、「長く働いてもらう」ことを前提に制度を選び、育成や定着までを視野に入れている点も特徴です。
2026年、外国人採用は「戦略として向き合うべき局面」
世界情勢と日本の立ち位置
| 国 地域 | 方針 | 最近の政策・状況 外国人労働者への影響 |
|---|---|---|
| ロシア | 縮小 | 経済制裁や長期的な成長停滞により、雇用環境の先行きが不透明 |
| 中国 | 停滞 | 不動産不況や成長率鈍化により、都市部を中心に雇用調整が進行 |
| アメリカ | 厳格化 | 国境管理の強化が継続。就労ビザは分野別に管理が厳格化 |
| EU | 厳格化 | 多くの加盟国で移民規制を強化。最低年収要件や審査基準を引き上げ |
| オーストラリア | 抑制 | 移民数抑制方針を打ち出し、学生・一時滞在ビザを制限 |
| シンガポール | 選別的 厳格化 | 外国人雇用枠や給与要件を段階的に引き上げ |
| 日本 | 拡大 | 特定技能制度などを通じ、2027年頃までに100万人規模の受入見込みを政府が提示 |
世界的に見ると、外国人労働者を取り巻く環境は大きく変化しています。ロシアや中国では経済の先行き不透明感が強まり、雇用環境も不安定さを増しています。
一方、アメリカやEU、オーストラリア、シンガポールなどの先進国では、入国や就労に対する制限が年々厳しくなっています。こうした中で、日本は2027年までに100万人以上の外国人労働者を受け入れる方針を示している、G7で唯一の国です。
治安の良さや法制度の安定性いった点も含め、日本は「働く国」として相対的な優位性を持ち始めていると言えるでしょう。
特に地方企業に追い風になる理由
近年、物価は全国的に上昇傾向にありますが、なかでも都市部では家賃水準が高く、生活コストの上昇がより顕著になっています。外国人労働者が就労先を選ぶ際に重視するのは、税金や社会保険、住居費、水道光熱費などを差し引いた後に実際に手元に残る可処分所得です。
可処分所得(⼿取り額)は地⽅が有利
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日本に初めて来る外国人にとって、都市か地方かは必ずしも大きな判断材料ではありません。生活コストを抑えやすい地方の方が、結果的に安定した生活を実現しやすく、現在の経済環境では地方企業が外国人採用において有利になりつつあります。
その結果、地方企業で長く働く人材が定着しやすくなる傾向が生まれています。
外国人採用は「人手不足時代の戦略」
外国人採用は、トラブルやリスクを伴う特別な施策ではなく、人手不足時代における一つの「採用戦略」です。制度を正しく理解し、自社の業務内容や人材像に合った在留資格を選択すれば、中小企業にとって大きな力となり得ます。
中でも特定技能制度は、現場業務との親和性が高く、今後の外国人採用を考えるうえで重要な選択肢です。
最後に、在留資格ごとの目的や賃金水準などを比較した表を参考にしながら、自社にとって最適な外国人採用の形を検討してみてください。
まとめ
人手不足が構造的な課題となる中、外国人採用は一部の企業だけの特別な取り組みではなく、中小企業にとっても現実的な選択肢となっています。重要なのは、制度を正しく理解し、自社の業務内容や将来像に合った在留資格を選ぶことです。
2026年は、経済環境や世界情勢の変化により、安易な採用が難しくなる一方で、長く日本で働きたい外国人材と出会いやすい時期でもあります。特に地方企業にとっては、条件競争に陥らず、定着を前提とした採用を進めやすい環境が整いつつあります。今後の人材確保を考えるうえで、外国人採用を一度立ち止まって整理する価値は十分にあると言えるでしょう。
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