2026.07.13
今回は、外国人採用において非常に重要でありながら、多くの企業が見落としがちな「悪徳ブローカー問題」と「不法就労リスク」について、徹底的に解説します。
これを知らずに外国人採用を進めると、企業が法的責任を問われる事態にもなりかねません。ぜひ最後までお読みください。
1.ブローカーとは何か?合法と悪徳の違い
ブローカーが生まれる背景
外国人が日本で働くためには、日本語の習得・在留資格の取得・就職活動など、さまざまなハードルを越える必要があります。
そのプロセスを代行・支援する存在が「ブローカー」や「人材紹介会社」です。
外国では、就職のために専門の仲介業者を使うことが一般的です。日本でもハローワークや転職エージェントを使うように、海外でも地域の紹介業者に相談するのは普通のことです。
問題は、その中に法律を無視した悪徳業者が存在するという点です。
合法的な人材紹介と悪徳ブローカーの違い
合法的な人材紹介会社は、厚生労働省の有料職業紹介許可(職業安定法に基づく許可)を取得しています。
この許可を持つ会社は、企業側から紹介手数料を受け取り、外国人の就職を適切にサポートします。
一方、悪徳ブローカーは以下のような特徴を持ちます。
・有料職業紹介許可を取得していない(または取得しているふりをする)
・外国人本人から直接お金を取る
・就労資格(在留カード)を確認せずに就職をあっせんする
・法外な手数料を請求する
2. 悪徳ブローカーの見極め方|3つのチェックポイント
外国人採用の際に関わる業者が信頼できるかどうか、以下の3点を必ず確認してください。
チェック①:有料職業紹介許可証を持っているか
日本で有料の職業紹介を行う場合、職業安定法に基づく有料職業紹介事業許可が必要です。
この許可を持たずに就労をあっせんし、報酬を受け取る行為は違法です。
許可番号を確認し、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で照合することができます。
「許可証を見せてほしい」と言えない業者には関わらないようにしましょう。
なお、無料の職業紹介でも、無料職業紹介許可が必要なケースがあります。「無料だから大丈夫」とは限りません。
チェック②:外国人本人からお金を取っていないか
正規の人材紹介会社は、企業(求人者)側から紹介手数料を受け取ります。
外国人(求職者)本人から金銭を徴収する行為は、悪徳ブローカーに多く見られる特徴です。
「紹介するから先にお金を払え」「手数料として預けてほしい」といった話には絶対に乗らないよう、外国人スタッフや求職者に伝えることも重要です。
チェック③:在留資格を確認しているか
就労可能かどうかは、在留カードの確認で判断できます。在留資格の種類・在留期限・就労制限の有無が記載されています。
これを確認せずに就職をあっせんするブローカーは、法令を無視した悪質な業者と判断できます。
3. 悪徳ブローカーの具体的な手口
悪徳ブローカーは海外にも日本国内にも存在します。それぞれの手口を具体的に見ていきましょう。
海外の悪徳ブローカーの手口
海外では、「日本で働きたい」という外国人に対して、「私に任せれば就職できる」と約束し、高額な前払い金を受け取るケースがあります。
問題は、その後何もしない業者が存在することです。面接のセッティングすらされず、お金だけ取られて終わる完全な詐欺です。
被害に遭った外国人は、多額の借金だけを抱えたまま就職もできないという状況に追い込まれます。
国内の悪徳ブローカーの手口
①資格外活動許可未確認での就労あっせん
留学生は原則として就労が認められていません(在留資格「留学」の場合)。
ただし、資格外活動許可を取得することで、週28時間以内のアルバイトが認められます。
この許可の有無を確認せずに就職をあっせんする行為は違法です。
②不法滞在者の就労あっせん
在留期間が切れているにもかかわらず、そのまま就労をあっせんするケースもあります。
在留カードの在留期限を確認すれば防げるはずの問題ですが、確認を怠った結果、不法就労者を雇用してしまう企業が後を絶ちません。
③許可を持たない個人の就労あっせん
SNSや口コミで「外国人の仕事探しを手伝う」として活動している個人の中にも、無許可で就労をあっせんして報酬を取るケースがあります。
4. 外国人が抱える借金の実態と不法就労への転落
来日前に背負う法外な借金
外国人が日本で働くために支払う費用は、渡航前の日本語学習費・渡航費・手続き費用に加え、ブローカーへの手数料が乗ることで、合計1万ドル(約160万円: 2026年7月現在)に達するケースもあります。
たとえば、ベトナムの高卒者の月収が数万円程度であることを考えると、160万円という金額がいかに法外であるかがわかります。
ブローカーは「日本は残業できるからすぐ返せる」と説明しますが、現実は異なります。
残業規制で返せない→不法就労へ
近年、日本では働き方改革関連法により、残業時間の上限規制が厳しくなっています。
外国人が期待していたほど残業で稼ぐことができなくなっているのが現状です。
その結果、借金が返せない外国人は「もっと稼げる仕事を探そう」と考え始めます。
そこに国内の悪徳ブローカーが「いい仕事があるよ」と近づいてくるのです。
紹介される仕事は、深夜の接客・水商売・お酒を提供するサービス業など、外国人の在留資格では就労が認められない仕事です。
時給が高いため断りにくいですが、これは明確な不法就労です。
不法就労からの脱出が困難な理由
一度不法就労に手を染めると、抜け出すのが非常に困難になります。
不法就労が発覚すると強制帰国になりますが、帰国しても借金だけが残ります。
現地での収入では返済の見通しが立たないため、「日本で続けるしかない」という状況に追い込まれるのです。
外国人本人が意図的に不法就労をしているわけではなく、悪徳ブローカーの構造的な問題に巻き込まれた被害者という側面もあります。
5.在留資格と就労制限の基礎知識
就労可能な在留資格の例
・技術・人文知識・国際業務(エンジニア、営業、通訳など)
・特定技能(介護・建設・製造業など16分野 ※2026年7月現在)
・技能実習(一定の職種・作業に限定 ※2027年3月に廃止)
・高度専門職
・永住者・定住者・日本人の配偶者等(就労制限なし)
注意が必要な在留資格
・「留学」:原則就労不可。資格外活動許可取得で週28時間以内(夏季等は40時間)のアルバイト可
・「家族滞在」:原則就労不可。資格外活動許可が必要
・「短期滞在」:就労不可
在留カードの確認方法
外国人を採用する際は、必ず在留カードを確認してください。
(1)在留資格の種類(就労できる資格かどうか)
(2)在留期限(有効期限が切れていないか)
(3)就労制限の有無(「就労不可」と記載がある場合は雇用不可)
(4)裏面の資格外活動許可(留学生などの場合)
6.雇用主が知るべき法的リスク
「知らなかった」では済まない
日本の法律では、不法就労者を雇用した場合、不法就労助長罪として雇用主も処罰対象となります(出入国管理及び難民認定法第73条の2)。
「在留資格があるとブローカーに言われたから信じた」「在留カードを確認しなかった」という言い訳は通用しません。
不法就労を知らなかったとしても、相当の注意を払わなかった場合には処罰される可能性があります。
罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金(または両方)です。企業の信頼性にも重大な影響を与えます。
特定技能・技能実習における注意点
特定技能や技能実習の外国人を受け入れる場合は、さらに厳格な管理が求められます。
・就労できる業種・職種が限定されている
・転職(転籍)のルールが定められている
・支援計画や報告義務がある
これらを守らないと、受け入れ停止や許可取り消しの対象になる可能性があります。
7.悪徳ブローカーに関わらないための対策
信頼できる人材紹介会社を選ぶ
人材紹介会社を選ぶ際は、以下を確認してください。
・厚生労働大臣の有料職業紹介許可番号を持っているか
・透明な料金体系があるか(企業側への請求内容が明確か)
・外国人本人に費用を請求していないことを確認できるか
・紹介後のアフターサポートや在留資格管理の支援があるか
登録支援機関の活用
特定技能外国人を受け入れる企業は、登録支援機関を活用することを強くお勧めします。
登録支援機関は、出入国在留管理庁(入管)に登録された機関で、外国人への生活支援・在留資格管理・各種手続きサポートを行います。
アストミルも登録支援機関として、中小企業の外国人採用をサポートしています。
専門家への相談を怠らない
外国人採用は、在留資格・労働法・各種手続きなど、複雑な法令が絡み合う領域です。
一人で判断するのではなく、行政書士・社会保険労務士・登録支援機関などの専門家に相談しながら進めることが最大のリスク回避策です。
まとめ
・悪徳ブローカーとは、有料職業紹介許可を持たず、法外な手数料を取る違法な仲介業者
・外国人が160万円超の借金を背負って来日するケースがあり、不法就労に転落するリスクがある
・雇用主は「知らなかった」では通用しない。不法就労助長罪の対象になる可能性がある
・採用前に在留カードを必ず確認し、就労可否・在留期限を確認する
・資格外活動許可の確認も重要(留学生・家族滞在など)
・信頼できる人材紹介会社・登録支援機関の活用が不可欠
外国人採用は、適切に進めれば中小企業にとって大きな戦力を獲得できる重要な手段です。
しかし、悪徳ブローカーや法的リスクを無視した採用は、企業に深刻なダメージを与えかねません。
ぜひ正しい知識と専門家のサポートのもとで、安心・安全な外国人採用を実現してください。
外国人採用・在留資格・登録支援機関に関するご相談は、アストミルで無料で承っています。
「どんな在留資格の外国人を採用できるのか知りたい」
「今雇用している外国人の在留資格管理が不安」
「特定技能の受け入れを検討している」
など、どんな小さな疑問でもお気軽にご相談ください。
特定技能外国人の採用について、無料でご相談いただけます。

