- 農業
2026.03.16
ベトナムとインドネシアのお二人は、真面目に誠実に勤務されており上司からも高評価です。日本語も継続的に学習されています。
ベトナム・インドネシア出身特定技能スタッフに聞く
「北海道の農業現場で働くリアル」
― 家族のために、日本で10年以上働き続ける。地方農業を支える外国人材のリアルな声 ―
「農繁期だけ人手が欲しい」「若い働き手が地元にいない」「体力仕事を長く続けてくれる人材が見つからない」——農業分野での人手不足は、全国の農家・農業法人にとって深刻な課題です。
その一方で、「外国人に農作業を任せて大丈夫なのか」「言葉が通じなくて現場が混乱しないか」と、受け入れに踏み出せずにいる事業者も多いのではないでしょうか。
本記事では、北海道の農業現場で働くベトナム出身のニャットさん(女性・在日7年半)とインドネシア出身のライハンさん(男性・在日2年)へのインタビューをもとに、「外国人材が農業の現場で働くリアルな姿」をお届けします。家族への仕送りを続けながら、日本で10年以上働き続けることを目指すお二人の声は、農業事業者が外国人材の受け入れを検討する上で、多くのヒントを与えてくれます。
1. なぜ日本の農業現場で働くのか?
来日の経緯——「家族のため」という明確な動機
ニャットさんはベトナムから来日して7年半、特定技能1号を2021年に取得しました。ライハンさんはインドネシア出身で来日2年、特定技能取得からおよそ1年が経ちます。出身国も来日時期も異なるお二人ですが、日本で働こうと思った理由を聞くと、共通していたのは「家族のため」という言葉でした。
「日本で働きたかった一番の理由は、家族のためです。毎月、家族に仕送りをしています。大体1万円〜15万円ほど、毎月送り続けています」(ニャットさん)
「お金のためというより、家族のため。それが一番の理由です」(ライハンさん)
ベトナム・インドネシアと日本の賃金格差は依然として大きく、日本での就労は家族全体の生活を支える手段として機能しています。「家族のために働く」という強い責任感を持つ人材は、仕事への取り組みも真剣で、長期定着につながりやすい傾向があります。
2. 特定技能の取得——独学でインターネットを活用
試験準備は「動画で独学」。難しくても諦めなかった理由
特定技能の技能試験・日本語能力試験の準備方法について尋ねると、お二人ともインターネットを活用した独学で乗り越えたと話します。
「インターネットで勉強しました。動画を見て覚えました。試験は確かに難しかったけど、頑張らなきゃと思って続けました」(ライハンさん)
特定技能の試験は、農業に関する専門知識と日本語力を総合的に問う内容であり、決して簡単ではありません。それを独学で合格しているという事実は、特定技能人材が一定の学習意欲と自己管理能力を持っていることを示しています。
来日前の不安については、「日本語が話せれば不安はない」というシンプルな言葉が返ってきました。言語さえ通じれば現場でやっていける、という自信と覚悟がうかがえます。
採用担当者が知っておくべきこと:特定技能の試験水準
- 農業分野の特定技能試験は、農作業の専門知識と日本語能力(日常会話レベル)が問われる
- 独学で合格する人材も多く、学習意欲・自己管理能力が高い傾向がある
- 試験合格者は「即戦力候補」として、現場への適応も比較的スムーズなケースが多い
3. 農業現場での仕事内容と、日々の働き方
畜産・酪農から園芸まで——幅広い作業を担う
現在の仕事内容について聞くと、畜産・酪農に関わる幅広い作業を担当していることがわかりました。
「牛のお世話、牛乳をあげること、掃除や洗い物など、色々やっています。以前はバラ(花き)の作業や、牛を放牧場所に連れていく仕事もありました」(ニャットさん)
特定技能(農業)では、耕種農業(野菜・花き・果樹など)と畜産農業(酪農・養豚・養鶏など)の両分野で、幅広い農作業への従事が認められています。お二人が担当している作業は日本人スタッフと同様の現場業務であり、農業施設の一員として日々の作業を着実に担っている様子が伝わってきます。
仕事のやりがいと率直な本音
働いていて楽しいことを聞くと、「ドキドキ楽しいけど、時々怒ることもあるし、色々な気持ちがある。それが仕事だから」という率直な言葉が返ってきました。
良いことも大変なことも包み隠さず話してくれるこの誠実さは、現場で長く働く人材に共通する特徴かもしれません。感情を正直に表現しながらも、「それが仕事だから」と前向きに受け止める姿勢が印象的でした。
4. 生活面での適応——北海道の暮らしに慣れるまで
食事・気候・移動手段。地方ならではの課題
北海道での暮らしへの適応について聞くと、食事については「ベトナムの料理を自分で作って食べています。色々食べられます」とニャットさん。自炊で母国の食文化を保ちながら、日本の生活にも柔軟に適応している様子がわかります。
一方、地方ならではの困りごととして挙がったのが「移動手段」でした。
「以前いた場所は街に近くて便利だったけど、今は行きたい場所が遠くて、それがちょっと困っています。でも、お金があまり使えない分、節約になるという良い面もあります」(ニャットさん)
地方の農業現場では公共交通機関が限られており、車がないと生活が不便になるケースがあります。受け入れ側として、通勤手段や休日の移動手段についてあらかじめ対策を講じておくことが、外国人材の生活満足度と定着率に大きく影響します。
受け入れのポイント:地方農業での生活支援
- 住居の確保はもちろん、最寄りのスーパーや病院へのアクセス手段を事前に整えておく
- 自動車免許取得のサポートや、送迎の仕組みを検討する
- 休日の過ごし方についても、近隣の施設・娯楽スポットの情報を共有しておく
- 同国籍または近隣に住む外国人スタッフがいると、生活面の相談がしやすく孤立感の軽減につながる
5. 職場の人間関係とコミュニケーション
写真や日常の共有が、言葉の壁を越える
職場の日本人スタッフとのコミュニケーションについて聞くと、「写真を見せ合ったりしています」という答えが返ってきました。言葉だけではなく、写真や身振りを使ったコミュニケーションが自然と生まれている様子は、「一緒に体を動かす」という農業現場ならではの共同作業が、言語の壁を越えた関係性を育てていることを示しています。
休日の過ごし方については「寝ています。勉強もしますが、ずっとではない」とライハンさん。体を使う農業の仕事は疲労も大きく、休日にしっかり休むことも大切な働き方の一部です。
6. 将来のビジョン——「10年以上、日本で働き続けたい」
長期定着を望む人材が、地方農業を支える
将来について聞くと、お二人とも「日本に長く住みたい」という明確な意思を示しました。
「10年以上は日本に住みたいと思っています。今はまだ7年半ほどですが、もっと長く働き続けたいです。最終的にはベトナムに帰る予定ですが、まだまだ先の話です」(ニャットさん)
「私も10年以上は日本にいたいです。日本語が話せれば、それだけで大丈夫だと思っています」(ライハンさん)
特定技能2号への移行も視野に入れており、長期的な就労継続への意欲は非常に高いことがうかがえます。「数年で帰ってしまうのでは」という受け入れ側の懸念とは裏腹に、多くの特定技能人材は日本での長期就労を望んでいます。数年単位で現場に貢献し続ける中核スタッフとして育てていける可能性は、農業事業者にとって大きな安心材料です。
7. 農業事業者へのアドバイス
インタビューの最後に、これから日本で働きたい外国人へのアドバイスを聞くと、「日本語さえ話せれば大丈夫」というシンプルな言葉が返ってきました。言語さえ通じれば、仕事は教えてもらえる、職場に馴染める——そういった日本の農業現場への信頼感がにじみ出る言葉です。
受け入れを検討する農業事業者へのチェックポイント
- 労働条件・待遇が日本人スタッフと同等以上になっているか確認する
- 農作業の指示を、短い言葉・実演・図解など視覚的な方法で伝える工夫をしているか確認する
- 住居・移動手段など生活面のサポート体制を事前に整えているか確認する
- 仕送りを続けながら安心して働けるよう、給与・労働時間の安定が確保されているか確認する
- 長期定着を見据え、特定技能2号への移行支援も視野に入れた育成計画を検討する
「家族のために、日本で長く働きたい」——そのシンプルで力強い動機を持つベトナム・インドネシアをはじめとする外国人材は、地方農業が直面する人手不足の課題を解決する、確かな戦力です。
アストミルコープでは、農業分野での特定技能外国人材の採用から定着支援まで、一貫してサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。
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