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特定技能 宿泊 石川県加賀市 お花見九兵衛様

  • 宿泊

2026.03.17

タイから一度インターンシップを経験したお二人のインタビューです。お二人とも意欲的に働いており、職場でのコミュニケーションもスムーズで即戦力として頑張っています。

タイ出身特定技能スタッフに聞く
「石川県・山中温泉の宿で働くリアル」

― インターンシップから特定技能へ。地方温泉旅館が外国人材と歩むキャリアのかたち ―

「日本人の応募がなかなか集まらない」「インバウンド対応でスタッフの語学力が必要だが、採用が難しい」——そんな声が、地方の宿泊施設から年々強まっています。

一方で、「外国人スタッフに仕事をうまく教えられるだろうか」「言葉の壁がある中で、現場が回るのか」と不安を感じている事業者も少なくありません。

本記事では、石川県・山中温泉の旅館「お花見久兵衛(おはなみきゅうべえ)」で働くタイ出身の特定技能スタッフ2名(シリラックさん・カンダライさん)へのインタビューをもとに、「外国人材が地方の宿泊施設で働くリアルな姿」をお届けします。インターンシップから特定技能就労へと進んだお二人の経験は、宿泊事業者が外国人材の受け入れを検討する上で、多くのヒントを与えてくれます。

日本を選んだ理由——文化への興味と「安心感」

今回お話を伺ったのは、タイ出身の特定技能スタッフのお二人です。シリラックさん(女性・31歳)とカンダライさん(男性・26歳)は、もともとインターンシップとして「お花見久兵衛」を訪れ、その後特定技能の在留資格を取得して正式に就労しています。

日本を選んだ理由をお二人に聞くと、共通していたのは「日本の文化への興味」と「日本という国への信頼感」でした。

「日本の文化が好きで、アニメのフィギュアやガンプラを集めるのが趣味なんです。そこから日本に興味を持ちました」(カンダライさん)

「日本は綺麗で、人が優しい。それが日本を選んだ理由です。タイでも日本語を大学で勉強しましたが、実際に来てみないと話せるようにならないと思っていました。文化や仕事のシステムを実際に体験したかったんです」(シリラックさん)

大都市ではなく石川県・山中温泉という地方を選んだ点については、「最初に決まった時は、日本に来られること自体が嬉しかったので、場所はどこでも良かった」とシリラックさん。カンダライさんも「都会はあまり好きじゃなくて。人が多くないところの方が自分には合っていた」と話します。

地方での受け入れを懸念する事業者もいますが、「静かな環境で働きたい」「都会より落ち着いた場所が好き」という外国人材は少なくなく、地方の宿泊施設だからこそマッチする人材もいるということが、このインタビューからも伝わってきます。

最初は日本語ゼロ。それでも現場で成長できた理由

お二人は来日前、ほとんど日本語が話せない状態でインターンシップを開始しました。シリラックさんが3ヶ月、カンダライさんが半年間、「お花見久兵衛」で研修を受けました。

「日本に来る前は、日本語を全然話せなかったです。最初はレストランで飲み物を運ぶだけ。お客様の対応はまったくできませんでした」(シリラックさん)

それでも2週間ほどで少しずつ日本語が使えるようになったと言います。その鍵になったのが、現場の先輩スタッフの関わり方でした。

「先輩が優しい日本語でゆっくり教えてくれました。最初は先輩のやり方を見て、真似するところから始めました。わからないことは先輩に聞いて、メモに取って覚えていきました」(シリラックさん)

「仕事のシステムが最初は何もわからなくて、お客さんに何か聞かれても答えられない。でも先輩に聞いて、上司に確認して、徐々に自信がついてきました」(カンダライさん)

インターンシップ終了時には施設側が送迎会を開いてくれたと言い、「感謝しています。みんな優しくて」とお二人とも口をそろえました。

給与水準と「人の優しさ」が決め手

お二人はインターンシップ終了後、それぞれ帰国して大学を卒業。シリラックさんはタイの徴兵制度に従い2年間の兵役をこなした後、改めて「お花見久兵衛」で働くことを選びました。

「正直に言うと、タイの給料は少ない。同じ仕事でも、日本の方がずっと多くもらえる。それに、この会社はみんな優しいから、また戻りたいと思いました」(シリラックさん)

「帰る前に社長と話して、戻れるなら戻ってきてほしいと言っていただいた。仕事のシステムもわかっているし、みんな優しいし、日本のお金の方が多い。もう一度ここで働きたいと思いました」(カンダライさん)

タイでの同種の仕事の給与はおよそ2万〜2万5千バーツ(日本円換算で数万円規模)であるのに対し、日本での就労は収入面で大きな差があります。待遇面での優位性が、地方の宿泊施設であっても外国人材に選ばれる理由の一つになっています。

また、シリラックさんのお母さんはもともと日本での就労に賛成しており、「応援してくれています」とのこと。家族の理解が得られていることも、安心して長期就労できる背景にあります。

毎日新しいことがある。だから飽きない

現在お二人は、レストランスタッフとしてお客様の接客を担当しています。仕事の面白さについて聞くと、明るい答えが返ってきました。

「毎日新しいことがあるから楽しいです。お客様にタイ出身だと話すと、『タイのどこ?』と聞かれることがあって、そこから会話が広がります」(カンダライさん)

カンダライさんは「サービス業が好き。お客様とコミュニケーションを取るのが好きです」とも話しており、接客そのものへの適性と意欲が伝わってきます。

お客様から「日本の方じゃないですよね?どちらのご出身ですか?」と聞かれることも多く、そうした会話が接客のアクセントになっているようです。外国人スタッフならではの「会話の入り口」が、利用者との新しいコミュニケーションを生んでいます。

今回のお二人のように、インターンシップで施設・仕事・環境への理解を深めた上で特定技能として就労するというキャリアパスは、採用側・本人双方にとって大きなメリットがあります。

インターンシップ→特定技能のキャリアパスのメリット
・本人が仕事内容・職場環境・人間関係を事前に把握した上で就労するため、入社後のミスマッチが少ない
・施設側も本人の適性・日本語力・仕事ぶりを見極めた上で採用判断ができる
・インターンシップ期間中に信頼関係が構築されるため、特定技能就労後もスムーズに現場に馴染める
・「また戻りたい」という気持ちを持って就労する人材は、定着率が高い傾向がある

アストミルコープでは、海外の大学で日本語を学ぶ学生を対象に、日本のホテル・旅館でのインターンシッププログラムを提供しています。「まず試してみたい」という外国人材と、「じっくり見極めてから採用したい」という事業者のニーズを、このプログラムでつないでいます。

今回のインタビューで印象的だったのは、お二人が口をそろえて「周りの人が優しかった」と語っていた点です。給与水準はもちろん重要ですが、「ここで働き続けたい」と思わせる最大の要因は、日々の職場の雰囲気と人間関係にあるようです。

受け入れを検討する宿泊事業者へのチェックポイント
・労働条件・待遇が日本人スタッフと同等以上になっているか確認する
・OJTを担当する先輩を明確にし、教育時間を確保できているか確認する
・「優しい日本語」で伝える工夫や、業務マニュアルの整備ができているか確認する
・インターンシップ終了時など節目に、感謝を伝える場を設けているか確認する
・現場スタッフへ、外国人材受け入れの目的と期待を事前に丁寧に共有する

地方の温泉旅館だからこそ、「都会より静かな環境が好き」「この施設の雰囲気が好き」という外国人材に選ばれる可能性があります。人口減少が進む地方において、外国人材との共存は観光業・宿泊業の持続可能性を支える重要な選択肢のひとつです。

今回のシリラックさん・カンダライさんのように、インターンシップを経て「ここで長く働きたい」と感じてくれる人材と出会い、ともに地域の魅力ある宿をつくっていける——そんな可能性が、外国人材の受け入れには秘められています。

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