増加するサービス産業のベトナム進出(その1)

▶︎消費市場として注目され始めたベトナム市場

一人当たり実質GDPが1,500米ドルを超え(2012年)、都市部であるホーチミン市やハノイ市においては、その2−3倍と言われており、急激に消費市場としての存在感を出しつつあるベトナムで、小売・流通業、飲食業や美容業等のサービス産業の進出が顕著になってきている。

ベトナムの人口は約9,000万人で、平均年齢27歳。2012年時点のベトナムの人口構成の中で、現在最も多い年齢層が10歳代後半から20歳代前半である。これから、進学、就職、結婚・出産、住居購入と、ライフタイム前半の大きな購買行動に繋がるイベント時が待ち受けており、消費市場の高度な成長が見込まれることも注目度を上げている要因だ。

また地政学的にも既にTPPに参加を表明しており、安倍政権によるTPPへの協議参加の表明、2015年にASEAN10カ国の市場自由化、関税撤廃も計画されていることもあり、タイ(6500万人)、カンボジア(1500万人)、ラオス(650万人)、ミャンマー(6200万人)が含まれるASEANメコン経済圏の東の玄関としても、ベトナムが注目されている。

特筆するところでは、女性の就業率が70%を超えていることが上げられる。外食産業は屋台や持ち帰り店等を含め、生活に密着した存在となっており、朝食、昼食はすべて外食、晩ご飯については、平日は事前にカットされた食材を宅配に取り寄せ自宅で調理をする「中食」で、週末は完全に「外食」という女性も少なくないようだ。

家電や日用品においても、テレビCM、雑誌類、インターネット等、様々な形で、日本を含めた外資系企業の商品・サービスの広告が氾濫している状況だ。特に注目するべき点としては、女性が購買決定権を握っている傾向が強く、マスマーケティングは女性を意識した内容になっており、可処分所得が増加している大都市圏の女性向けのマーケティングビジネスも非常に注目されている。

▶︎女性が牽引するベトナム消費動向

ホーチミン市やハノイ市等、大都市圏の一人当たりGDPは2012年に3,500米ドルを超え、共働き世帯では、農村地域の世帯の約5倍以上の可処分所得があると考えられている。特にホーチミン市やハノイ市で目立つビジネスとしては、ヘアサロン、スパ等の美容・リレクゼーション関連のビジネスである。

町中の至る所に、ヘアサロンやスパがあり、週末はお気に入りのスパで1日過ごす女性も少なくない。

ホーチミン市の人気の高いスパでは、フェイシャルトリートメント、ボディマッサージ等歯もちろんのこと、ヘアメイク、ネイル、メイクアップ等、ほぼすべての美容サービスが受けられるので、平日の疲れを取る癒しの場として定着している。

料金もトータルサービスで100~150米ドルと工場労働者の平均月給レベルで安価ではないが、人気店では週末は予約を取らないとサービスを受けられないという。

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